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豪華登壇者によるトークショー「ファッションショーの裏側」| SUMMER FESTIVAL DAY 2

エスモード・東京校では、7月27日(土)から7月31日(水)の5日間にわたり、オープンキャンパスイベント「サマーフェスティバル」を開催しました!
期間中に行われたワークショップやトークショーでは、エスモード・東京校で学べる授業や技術を知っていただくとともに、
夏ならではのクリエイティブで楽しいファッション体験をお届けしました。
本記事では、サマーフェスティバル2日目 7月28日(日)に開催されたトークショー「ファッションショーの裏側」の様子をレポートします。
ブランドがファッションショーを開催する狙いや、ファッションショーを鑑賞する際のポイントなど、
「ファッションショーの裏側」に迫った濃密な1時間半を振り返ります。

ファッション業界の第一線でご活躍の3名が登壇!
今回のトークショーでは、業界の第一線でご活躍されている豪華な3名をお招きしました。
1人目は、東京コレクションを運営する一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(以下、JFWO)の事務局長・古茂田博氏。
2人目は、コレクション参加ブランド「HARUNOBUMURATA」のデザイナーで、エスモード・東京校の卒業生でもある村田晴信氏。
3人目は、モデレーターとして、WWDJAPAN編集長の村上要氏。
運営、制作、発信の活動を通してファッションショーに深く携わる3名に、それぞれの立場から見た「ファッションショー現場のリアル」をお話しいただきました。

 

HARUNOBUMURATAがファッションショーを行う理由
村田氏
これまで「HARUNOBUMURATA」は、4回東京コレクションに参加しています。
最初にファッションショーへ憧れを抱いたのは、エスモード在学中、卒業コレクションのレベルの高さに感動したことがきっかけでした。
そこから様々なファッションショーを観る中で、ブランド立ち上げ時には「自分もファッションショーを行いたい。」という想いが強くなっていました。実際にモデルが服を着て歩く場面を見せ、音響・空間演出などの総合プロデュースをすることで、写真では伝わらないブランドの世界観やメッセージが伝わると考えたからです。 
ちょうどその頃に、JFWO主催の「TOKYO FASHION AWARD 2022」を受賞し、東京コレクションに初参加させていただきました。

村上氏
東京コレクション参加を経て、ファッションショー形式で発表することへの意義は感じられましたか?

村田氏
ショー開催をきっかけに、「ブランドの知名度が上がったこと」が一番の意義でした。ブランドがメッセージを伝える手段を得た感覚がありました。
想像よりも多くの労力や精神力、コストが掛かりましたが、ファッションショーにはそれ以上の価値があったと思います。

東コレ運営はブランドのファッションショー開催をどう後押ししていくのか
古茂田氏
企画・運営の立場からしても、ぜひファッションショーでブランドの世界観を伝えて欲しいと思っています。
展示会やルックブックでも、生地やデザインのこだわりといった「服単品の良さ」は伝わるかもしれません。
しかし、ヘアスタイルや小物を含めたトータルコーディネートによって、「服をどう着ればかっこよく見えるのか」を発信できるのは、ファッションショーならではの魅力です。
ファッションウィークは、デザイナーが自分の想いを表現する「挑戦の場」として位置づけられているのではないでしょうか。

村上氏
やはり多くのデザイナーは、「表現の場であるファッションショーに挑戦したい。」というモチベーションを持っている人が多いと?

古茂田氏
そう思います。ただ、照明・音響・演出には多くの人が関わるため、ショー開催には莫大なコストがかかるのがブランド側にとって困難な点だと思います。
ブランドはショー開催を経てきちんと利益を高め、またファッションショーや展示会などに先行投資をし、世界観を伝えていくというような、良いサイクルを回し続けなければなりません。
私たちJFWOは、ブランドが数10年先もこのサイクルを続けられるよう、支援していきます。
特に、次世代のデザイナーが活躍しやすい環境を作るため、アワードの開催および賞金の授与、公式会場の提供、製作やPRスタッフの紹介、各メディアの招待および記事執筆の依頼などの活動も行っています。

ブランドがショーで世界観を表現するために行うこと
村上氏
村田さんは初めてのショー開催の時、具体的にどのようなことをされましたか?

村田氏
ショー開催には、演出や照明、当日の撮影など多くの工程がありますが、最初は何から手配したらいいのかすら知りませんでした。
なので、まずはこれらの工程を進行管理する「ショープロデューサー」を探すことから始めました。インターネットで検索して見つけた演出チームに連絡を取り、演出の依頼をしました。
そこからは、演出チームにショーコンセプトや大事にしたい世界観を話し、それを踏まえて会場や演出の提案を頂くという流れで、ショーの詳細を決めていきました。
初めてのショー開催で良い演出チームに出逢えたことは運が良かったと思います。

村上氏
演出チームと「大事にしたい世界観」についてお話をされるとのことですが、具体的に2024年秋冬のコレクションでは、ブランドの世界観をどのように表現されましたか?

村田氏
このシーズンでは、あえて「作り込まない空間」でショーを行いました。
これまでは、エレガントなテーマや世界観を表すために、一流ホテルや国立博物館のような品の良さや高級感のあるエレガントな会場を利用していました。
ですが、このコレクションでは、ラグジュアリーな雰囲気とはかけ離れたラフな空間で、あえてラグジュアリーなショーが出来たら面白いのではないかと考えました。
床をそのまま利用し、シンプルな壁を立て掛けただけの「作り込みすぎない」空間にしました。

村上氏
演出で使われたデジタルサイネージには、どのような意味があるのですか?

村田氏
今回のショーテーマは「舞踏会に向かう3人の農夫」でした。これは、1910年代に撮影された、3人の農夫が隣町のダンスパーティーに向かう様子の写真がインスピレーション源です。この写真はその先に待ち受ける戦争の時代を比喩的に表現している一面もあることから、「繁栄と退廃」をショーコンセプトに掲げました。
「繁栄と退廃」のメタファーである「花」を登場させた映像を生成AIで作り、サイネージで流しました。

村上氏
なるほど。「舞踏会に向かう3人の農夫」がテーマだったからこそ、日常着のような素朴な印象の服と、舞踏会のためにドレスアップした印象の服が登場したんですね。

村田氏
そうです。「ドレスアップすることの喜び」を表現することで、その本質である「装うことへの喜び」を表現出来ればいいなと思いました。

 

WWD編集長が語る!ファッションショー鑑賞のポイント
村上氏
仕事柄多くのブランドのコレクションを見ている立場として思うのは、「ファッションショーには、デザイナーからのメッセージが沢山散りばめられている」ということです。
ぜひ皆さんには、いろんな角度から「デザイナーが伝えたいメッセージは何か」を考えたり、読み取ったりできるようになって欲しいです。
村田さんのお話にもあったとおり、会場選びや音響づくり、起用するモデルなど、ショーを構成する全ての部分には意味やこだわりが込められています。
考えながらファッションショーを観ると、もっと楽しんでいただけるのではないでしょうか。

古茂田氏
運営の立場として多くのブランドを見ていますが、やはりショーの演出等にこだわりを持っているデザイナーほど長く活躍されています。
シーズンごとに変化していくデザイナーの考えを表現するのにふさわしい環境を用意することが私たち運営の役割でもありますし、デザイナーやブランドがショー発表を重ねて成長していく姿が見られることも期待しています。

今後の東京コレクションが目指す姿
村上氏
村田さんはミラノコレクションに参加されたご経験もありますが、東京とミラノでの違いなど感じられたことはありますか?

村田氏
どこの市場でブランドを見せるのかというところが一番の違いです。
東京という土地柄、世界中のメディアやバイヤーに来ていただくことは難しいという問題はあります。その一方で、パリやミラノは開催時期が近いこともあり、メディアやバイヤーが集まりやすいので、ウィーク中にショーや展示会を開催することで多くの人にブランドを評価していただける機会が生まれます。

村上氏
なるほど。古茂田さんは運営の立場として、今後の東京コレクションが目指す姿などはありますか?

古茂田氏
日本はアジアの島国ですから、ヨーロッパのコレクションと比べると人や情報の集まりはどうしても難しい部分があります。ですが、東京は他のコレクションと競う必要はないと考えています。
日本や東京ならではの文化から派生しているファッションが沢山ありますし、ヨウジヤマモトやCOMME des GARÇONS、イッセイミヤケなど、日本伝統の職人技で作られたテキスタイルを使うことで世界から認められたブランドも多くあります。
これは、色・柄・デザインだけでなく、コンセプトを活かすためにテキスタイルづくりからこだわる日本ならではのものづくりの姿勢が評価されているからです。
こうしたブランドに続く、次世代のデザイナーを発掘し、発信していくことが私たちの役目です。

質問コーナー
参加者からの質問にも答えていただきました!

〇ファッションショーには何人くらい関わっているのですか?
村田氏
会場演出、ヘアメイクモデル、フィッター、デザインチーム 、服の修正担当者、音響・映像チーム、PRスタッフなど、100名以上が関わっています。
多くの人が関わってくださっている分、毎回プレッシャーも大きいです。

〇ショー開催にはどれくらいの資金がかかりますか。
村田氏
大体1000万円くらいです。
資金調達先や、ショー後の回収見込み金額などを戦略立て、それをもとにショーへの投資額を決めています。
ブランドの知名度や期待値が高くなるにつれて、より大規模なショーができるようになるのが理想ですが、そのためにはブランドがビジネス的な成功を重ねていくことが必要不可欠です。

〇メディアやVIPを招待してファッションショーを行うことが一般的ですが、舞台やコンサートのようにチケットを販売するというやり方は取らないのでしょうか。
村田氏
ブランドはファッションショー開催によって知名度が上がることを期待しているので、メディアやバイヤーなど一般消費者に対して影響力を持つ人々を招待したいという想いがあります。 なので、招待形式のファッションショーが多いのではないでしょうか。

最後にはカクテルパーティーも開催!
トークショー開催後に、カクテルパーティーを行いました。
御三方にもご参加いただき、参加者と交流する時間となりました。
参加者からの質問に丁寧にお応えする姿が印象的で、参加者の皆さんも目を輝かせていました!

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次回のオープンキャンパスは
9月14日「無駄のないワンピースを作ろう〜ZERO WASTE PATTERN」

初心者から参加OK!
衣類を作る際には、どうしても生地のはぎれやゴミが出てしまいます。
今回は生地の無駄を最小限に抑えるパターン作成「ゼロウェーストパターン」をコンセプトに、
環境に優しく、資源の効率的な使用を考えたワンピースを作ります。
お楽しみに!


ライターのプロフィール
Kyoka
ESMOD TOKYOでインターンをする大学4年生。

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