服作りに欠かせないパターンとは?【ファッション業界用語解説】

仕事中のパタンナーの女性

「いい服」とは、いい生地を使っていたり、優れたファッションデザイナーがデザインしたりするだけではなく、素晴らしいパターンがあることが前提です。
実はパターンは、服作りにおいて陰の主役であり、ファッション業界の要を担うほど大切です。
そこで今回は、ファッション業界でよく耳にする「パターン」について詳しく説明していきましょう。

パターンとは

パターン違いのシャツ
「パターン」には、型、原型、見本、様式などという意味があります。
ファッション業界におけるパターンとは、服を作るための設計図、つまり、型紙を指すもので、服の見た目を形よく、着心地よく完成させるために作られます。

上質な素材の布を使っても、パターンが悪ければ台無しになるし、また、有能なデザイナーがデザインを手掛けても、そのイメージを具現化することができなくては、素晴らしいデザインを世に発信することはできないのです。
パターンは、服作りにおける要ともいえる重要な工程です。
よりいいものを仕立てるためには、デザイナーのイメージをそのままに、正確に再現したパターンを作ることが大切です。

ファッション業界における役割

ファッション業界においてパターンを作る目的は、効率の良い生産のためです。
過去のファッション界、主にヨーロッパでは、服作りは顧客のボディサイズやフィット感に合わせてオーダーメイドで作られるオートクチュールが大半でしたが、パターンを制作する時間や手間がかかることがネックでした。

その後、アメリカで大量の既製服を作る技術が発達すると、それに伴ってパターンのスキルも向上し、今日では、シルエットや着心地が美しい衣服をたくさん生産できるようになりました。
ファストファッションでトレンドをリアルタイムに楽しめるようになったのは、パターン制作のための技術発達したからでもあるのです。

パターンを制作する専門職をパタンナーといい、使われる生地や縫製の仕方などを考えながら、型紙を作ります。
パターンの手順は、まずデザインを見ながらファーストパターンを制作し、試作したサンプル品でシルエットやフィット感などを調整しながら、最終的に量産用のパターンを仕上げます。
サイズ展開のある衣服は、グレーダーという専門職に引き継がれ、どのサイズも等しいシルエットになるようにパターンを調整するグレーディングが行われます。
グレーディングでは、全体の比率を計算してパターンを拡大、縮小するほか、XXSからXXLなどサイズ展開の幅広いものは、体型の特徴に合わせて比率を変えてパターンを引くこともあります。
このように、アパレルの生産にはパターンが深く関わっているんですね。

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パターン制作の種類

パターンの裁断
パターン制作には、大きく分けて2つの手法があります。
ここでは、どのような手法があるのか詳しく見ていきましょう。

立体裁断

パターン制作の手法の一つが、立体裁断です。
立体裁断は、別名でドレーピングと称されることもあり、ボディと呼ばれる洋裁用の人体模型に布を当てながらシルエットを作り、パターンを作っていきます。
平面で型紙をつくる平面裁断に比べて、立体裁断では平面では見つけづらいラインを発見できたり、フィット感やボリューム感を調整しやすかったりなど、ディテールにこだわった服作りに役立つことがメリット。
ただ、生産のために最終的に平面にパターンを引くことが必要なので、紙にパターンを引く手順が面倒なことや、ばらつきが出やすいことがデメリットです。

平面裁断

平面裁断は、その名の通り、平面状の紙にパターンを引き、裁断して制作する方法です。
計算式や方程式などに基づいて寸法を決めていくので生産性が高く、現在、日本のアパレル企業で多く取り入れられています。

パターンの仕上がりが安定しており、サイズによってパターンを変えることが簡単な点がメリットですが、新しいデザインが出た時に対応しにくいことや、ゆとり、ボリュームなど、衣服が完成したときのイメージに相違が出やすいことがデメリットだとされています。


パターン制作のために求められるもの

正確なデザインのために

パターンの役割や裁断の種類など、パターンについての理解は深まったでしょうか。
パターンをつくるためには、さまざまな知識や技術など、多くのものを求められます。
そこで、パターン制作に求められるものの中でも特に大切な3つのポイントについて解説します。

デザインから正確に制作する技術

いいパターンを作るためには、ファッションデザイナーの描くイメージを忠実に再現できる力が必要です。
デザイナーの提案を形にするには、創造力や素材や縫製の特性についての知識、それらを踏まえたパターン制作をすることができる技術も要るでしょう。
パターン制作には、デザイナーの提案するデザインを見てシルエット思い描き、完成図がどのようになるのかを考えながら仕上げる力が求められます。

ズレなどを生まない正確さ

衣料を生産するために作られるパターンは、緻密であることが大切です。
パターンに少しでもズレがあると、完成した製品に大きな違いが出てくることがあります。
ですから、パターンの隅々にまで気を配り、狂いのない正確なものを作ることができる集中力が求められます。

CADに関する知識

日本のアパレル企業では平面裁断を取り入れているところが多く、平面裁断にはCADというコンピューターのツールが使用されるケースが多いです。
CADとは、コンピューターでパターンをつくる時にサポートをしてくれるもので、アパレル生産のための専用CADがあります。

CADはパターンの工程を簡略で効率的なものにし、多くの商品づくりに生かすことができます。
ですから、パタンナーとして活躍するためには、衣服に関する知識だけではなく、CADに関する知識も求められます。

まとめ

ファッション業界におけるパターンには、立体裁断と平面裁断の2種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
パターンがあることで、シルエットや着心地について効率よく調整することができたり、大量生産を可能にしたりなど、パターンは、現代のファッション業界や洋服づくりに欠かせない工程であり、アパレル業界の生産を支える重要なものです。
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エスモードは、東京恵比寿にあるファッションの学校です。 フランス・パリで世界初のファッション専門教育機関として1841年に開校。 現在は世界13か国に19校あり、その日本校であるエスモードジャポンの広報を担当しています。 世界のネットワークを生かした情報発信とファッション業界について解説していきます。

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